角膜剥離:角膜擦過傷の治療

角膜剥離のイラスト

角膜剥離とは、眼球の透明な前表面(角膜)にできたキズのことです。角膜剥離は通常、著しい不快感とともに 目の充血、涙目、そして 光過敏を引き起こします。

角膜にキズが付くと、痛みを伴うだけでなく眼感染症にかかりやすくなります。このため、角膜剥離が疑われる場合はすぐに、眼科医の 診察を受けるか、救急外来や緊急治療センターを受診することが重要です。

角膜剥離の原因は?

基本、眼球の前表面に直接接触する可能性がある物はすべて角膜剥離の原因になり得ます。

木の枝、紙、メイクブラシ、ペット、指、スポーツ用品など、すべてが眼球の前面にとっては危険です。

角膜剥離の多くは、目を突かれるなど目立った外傷が原因ではありません。砂や埃、そのほかの小さな粒子も角膜剥離の原因となります。目を擦った場合は特にそうです。

ドライアイも、特に目を覚ました時に角膜剥離のリスクを高めます。睡眠中、眼球が乾燥してしまうと、まぶたが角膜にくっついてしまいます。そして目を覚まして目を開けた瞬間に、乾いた眼球の表面にまぶたが擦れて、角膜剥離を引き起こすのです。

眼球に上手くフィットしなかったり、損傷したり汚れているコンタクトレンズも、角膜にキズが付く原因になります。コンタクトレンズの長時間装用や、睡眠中に装用したままでいることも原因になります。

角膜剥離の症状

角膜は、体の中でも最も敏感な部分の1つです。ごく小さなキズでも非常な痛みを伴い、目の中に大きくて粗い物が入っているような感覚を覚えます。

痛みや目の中がゴロゴロするような感覚の他にも、角膜剥離の兆候や症状としては、以下のようなものがあります:

角膜剥離は、吐き気を催すほど不快な場合もあります。

角膜剥離の可能性があり、上記の症状が出ている場合は、すぐに眼科医を受診しましょう。

角膜剥離の予防

目の中に何かが「入っている」と感じるとつい目を擦ってしまいがちですが、これは事態をさらに悪化させてしまいます。

目に何かが入った場合、水で洗い流すのは大丈夫ですが、目を擦ってはいけません。

角膜剥離は通常、片方の目にのみ影響を及ぼし、傷のある目に何かがあるように感じることがあります。

また、パッチで目を覆うのもやめましょう。細菌の増殖を早め、眼感染症のリスクを高める可能性があります。

できれば、水道水やペットボトルの水ではなく、無菌食塩水の洗眼剤や多目的コンタクトレンズ溶液で目をすすぐようにしましょう。アカントアメーバのような微生物は、水道水やペットボトルの水からも発見されており、角膜剥離を起こした目にこれらの病原体が入ると、視力を脅かす深刻な感染症を引き起こす可能性があります。

目を洗い流した後、充血や痛み、異物感が続く場合は直ちに診察を受けてください。24時間以内に角膜剥離が深刻な障害をもたらす可能性があります。

角膜剥離の診断には、目を開いたまま検査を受けられるよう、眼科医は目を麻痺させる点眼薬をさします。ブルーライトとスリットランプと呼ばれる検査用顕微鏡で目を見た時に、眼科医が擦りキズの程度を確認するため、別タイプの目薬を使用する場合もあります。

引っかきキズの原因や検査中に眼科医が確認した内容によっては、適切な感染症治療のため、目の表面を軽く拭き取ってスワブ培養することもあります。

角膜剥離の治療法

角膜剥離の治療法は、キズの重症度と原因によって異なります。軽度の擦りキズであれば、自然治癒過程の間、眼球の潤いと快適さを保つため保存薬が使われていない潤滑点眼薬で治療することもあります。

表面的な擦りキズでも、治癒中の感染を防ぐために予防策として抗生物質の点眼薬が処方される場合もあります。表面的な角膜剥離は、通常2~3日以内に治ります。

しかし、より深刻な角膜剥離の場合、目により長くとどまる抗生物質の軟膏、炎症や傷跡を減少させるステロイド、痛みや光過敏を和らげる治療が必要になります。大きく深い角膜剥離のキズは治るまでに時間がかかり、視力に影響を及ぼす永久的な傷跡が残る場合があります。

場合によっては、絆創膏コンタクトレンズと呼ばれるもので角膜のキズを治療します。処方された目薬と一緒に使用すると、これらの特殊レンズは痛みを和らげ、治癒を早めることも可能です。

基本的に、通常の コンタクトレンズは レンズの下に感染症を発生するリスクが高いため、角膜剥離のキズの上には装用しないでください。角膜にキズがついた後、いつ通常のコンタクトレンズの装用を再開しても安全かは、眼科医のアドバイスを待ちましょう。

怪我の重症度と治療法に応じ、眼科医は最初の治療後24時間以内にフォローアップ検査を予定することもあります。

角膜剥離はすぐに治療すれば、ほとんどの場合永久的な視力喪失を伴わず完全に回復できます。しかし、角膜の中心部(瞳孔のすぐ前)にできた深い擦過傷は傷跡が残り、視力が低下する場合があります。

深い角膜剥離をすぐ治療せず放置しておいた場合は、角膜潰瘍を起こして著しい視力喪失を招くこともあります。特に、有機物によるキズは、角膜潰瘍のリスクを高める可能性があります。

角膜剥離は必ずしも適切に治るとは限らない上、再発性角膜びらんやそのほかの合併症を引き起こし、視力や快適さに影響を与える可能性があるため、フォローアップの予約は非常に重要です。

角膜剥離の予防法

角膜剥離の原因は予防が困難なものが多いですが、簡単で常識的な予防策で回避可能なものもあります。

例えば、溶接を行っている環境など空気中に何らかの破片が浮遊している作業環境では、常に保護眼鏡あるいは保護ゴーグルを着用するようにしましょう。同様に、庭仕事をする時や電動工具を使用する際、スポーツをする時にも保護眼鏡を使用する必要があります。

コンタクトレンズを装用している場合は、どの位の期間装用するか、いつ破棄すべきか、そして角膜を健康かつ丈夫に保つための 適切なコンタクトレンズケア方法について、 必ず眼科医などのアイケア・プロの指示に従ってください。

角膜剥離の原因がドライアイと思われる場合は、眼科医を受診し、医師が推奨する ドライアイの治療 プロトコルに従ってください。

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